代謝工学
例えば微生物の代謝反応を利用し,有益な物質を生産させるとします.物質の生産量を増加させるためには,その微生物の培養系の最適化や操作法の開発,あるいは,GMが必要となるかもしれません.またその考察のよりどころとなるモデルが必要となり何がどれだけ得られたか?という代謝物質の定量的な情報が必要になってきます.
代謝経路の情報を定量的に取り扱おうとする技術の開発は,1970年代から始まり,90年代には代謝工学と呼ばれるまでに進展してきました.代謝工学とは,「利用可能な代謝反応の情報を用いて,生化学反応ネットワークを解析することにより,代謝の流れを体系的に改良する方法」また単に「recruiting(酵素や物質の取り込み系を異種の生物より導入すること)による代謝の流れの改変の実現」と定義されています.経路の個々の酵素反応のキネティックパラメーターを同定しそれらのパラメーターを用いて代謝経路をシュミレーションします.シュミレーションによって個々の反応の全体の経路に与える影響を計算することができます.このように得られた情報は,経路を制御する重要な指針を与えてくれる訳です.
Gepasiについて
化学物質濃度が時間とともに変化する事象を定量的に扱うには,反応系にある化学物質それぞれについて微分方程式を記述し,与えられた連立微分方程式を解かなければなりません.Gepasiでは,個々の微分方程式を定義する必要もなければ,当然それらを解くといった煩雑なプロセスは必要としません.唯一反応における個々の反応式を打ち込めば良いわけで,後のプロセスは,Gapasiが解いてくれます.
A |
C |
E |
H |
|
初期濃度(mM) |
2 |
2 |
2.5 |
0.2 |
|
e1 |
酵素量(unit) |
x |
KmA |
0.02 |
KmD |
0.02 |
|
e2 |
酵素量(unit) |
4 |
KmC |
0.02 |
KmE |
0.1 |
e3 |
|
酵素量(unit)
|
1 |
KmF
|
0.001 |
KmH
|
0.1 |
パラメーターをよく考え,上記の反応系で酵素e1の速度がe3の速度の1/500,1/100,1/10,
1倍の時の生産物 Iの経時変化をエクセルでプロットして下さい.